不用品回収して帰ろう

久しぶりに20メートル先が見えない走行だった。
ひっきりなしに突風が吹き荒れ、何度も転倒しそうになる。
横風にさらわれて、対向車線に押し出されて
正面からトレーラーが走って来たのが2回。避け損ねたら最後だ。
カッパを着ていても、もう内側までびしょ濡れで
股間から膝裏へ冷たい水が何度も流れ落ちて行くのがわかった。
水をたっぷり含んだ服のせいで、肘と膝が曲がらない・・・

あまりの視界の悪さにメットのシールドを引き開け、
水けむりの向こう側に目をこらす。雨粒が痛い。
雹かあられのように容赦ない大粒の雨が当たって、
唇が紫色に腫上がってきていた。赤くならないのは寒さのせいだ。

なんとか安倍川駅にたどり着いた時は、
そのまま不用品回収して帰ろうとすら思った(笑)
それでも、水槽に落としたかのような
ずぶ濡れの携帯電話を手にとり、工場へ電話した。